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語彙の勉強法 -ことばをおぼえる、ことばをふやすー [教師研修と、その周辺]

今年第一回目の勉強会を職場で行いました。テーマは「語彙の勉強法ーことばをおぼえる、ことばをふやすー」。

語彙教育にはいくつかの視点があり、「使用法に注意する」、例えば、「<やがて>スピーチコンテストが<開場>します。どうぞ<熱弁>を<所望>しています」といったような間違いが出ないように指導することは、もちろん非常に重要です。
が、それはまたの機会にということで、今回は主に「記憶・定着」といった視点から90分話をしたり、意見交換をしたりしました。

主な内容は、

1.さまざまな教室活動やゲーム(連想ゲームやクイズ、マッピング、ジェスチャー、クラスメイトに自分の好きな言葉を紹介、カルタの活用、フラッシュカードや絵カードの使い方、言葉遊び、借り物競走など。マッピングや連想ゲームは実際にグループで体験)
2.中長期的な定着をねらった授業実践
3.それら活動を支える語彙習得理論

の三点です。

準備に際してかなり参考としたのは、英語教育の語彙習得理論と実践でした。
「語彙・定着練習」といったキーワードでgoogle検索をかけると、出てくるのは圧倒的に英語教育に関する理論や実践です。現場の先生方からの発信も多く、「語彙の活動をゆっくりできればもちろん素晴らしいが、現実には授業の中では時間がない」「ゲームや教室活動はその場では面白いがすぐに忘れてしまう」「やる気のない学習者をどうすればいいか」など、特に中学校の現場に即した具体的な内容が多々ありました。これらは日本語教育現場から聞こえてくる悩みに重なるものの多く、<教授法>、それも理論に裏打ちされた教授法を追いかけてみたいというのが、最近のテーマになっていた私には非常に考えさせられる内容ばかりでした。

例えば岡田順子先生の「語彙習得理論を“現場目線”で活かす!」で紹介されている「エッセイライティングと語彙教育~生徒がつくるオリジナルな単語テスト~」は、作文と語彙教育を関連づけた体系的な活動です。
この活動は次の手順で進められます。
①テーマを決めて作文を書く、わからない言葉は先生に聞く
②表現できなくて先生に聞いた表現や語彙には下線をひいて、リストアップしていく
③リストをもとに「自分だけの単語テスト」を実施する

①の部分は例えば「第●課で勉強した単語を必ず5つ以上使ってください」のように指定することもできるでしょうし、できた作文をクラスの中で読みあったり、クラスメイトの単語リストを全員で共有していくなど、いろいろ広げていくことができるなと思いました。

ゲームにしても、これら「勉強」的な活動にしても、ひとつのことからさまざまな応用や展開のさせ方があり、また何を目的にするかでその展開のさせ方が変わってきます。
例えばマッピングなら、「知っている単語を思い出す」ためなら辞書をひかせず個人活動として行えるでしょうし、クラスメイトとわいわい活動していくことは、「知らない単語をクラスメイトから学んで言葉を広げる」ことにつながってきます。

最近大切だなと改めて思うのは、こういった学習の背景となる理論をおさえておくこと。
もちろん「ゲームの楽しさ」「アイスブレイキングとしての雰囲気づくり」自体すばらしい活動ですが、「意味に結びつけることによって記憶に残りやすい」という「深い処理」仮説や、関連性のある語彙は脳の中でも近いところに入っているという「メンタルレキシコン」を知っておくと、そこからさまざまな活動を派生させたり、クラスの状況に合わせて応用をさせる時にも、活動の本来の意図がブレにくくなるんですよね。

ブダペストの勉強会については、こちらもご覧ください。
http://www.jfbp.org.hu/index.php?action=showart&id=63
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