マートラの風景 [旅]
大学の時、実は混声合唱部に入っていました。
勧誘のノリで思わず入部。それでも4年間、たくさん歌ってたくさん笑って、いい友人にも恵まれた中、特別な時間を過ごすことができました。
3年生の時歌ったのが、ハンガリーの作曲家、コダーイの「マトラの風景」。
その舞台となった「マートラ山」を、ハンガリー人の先生と同僚と一緒についに訪れることができました。
マートラは、ハンガリーの最高峰。山頂のケーケシュは標高1015メートル。
ようやっと新芽が出始めたばかりの、一面のブナの森。
灰色の樹木が立ち並ぶのが、マートラの典型的な風景なのだそうです。
途中、溶岩や土石流などの岩を見ながら、目印を頼りにハンガリー横断路を歩きます。
すごいなあ。
この地方でコダーイが採取した民謡。そして、それが元になった、「マトラの風景」。
歌に出てきた義賊ヴィドロツキや、旅立つ若者が呼びかけた小鳥は、こんな場所で生まれた歌なんだなと思いながら歩いていました。
それから、ハンガリー人の先生が特別に探してくれたレストラン、「ヴィドロツキ」でお食事。
煙突からもくもくと煙が出る、可愛い小さなお店です。
ご主人のいろんな話を聞きながら、美味しい料理を堪能しました。
ヴィドロツキ・マルツィは、いわゆる義賊。
富豪から金品を奪い、貧しい人たちに分け与えたという人物です。
コダーイは今でもやはり好きで、それは民謡の持つ土臭さや骨太なところにあるのではないかと思います。
コダーイの音楽の題名にもなっている、今はスロヴァキアのガラーンタや、ルーマニアのトランシルヴァニア。いつかいつか、そういう地域にも行ってみたい。
それから、多分マートラの近くのどこかにある、「ターリの野原」。それはどんな場所なんだろう。
よく、学習者に「日本語に興味を持ったきっかけは?」と聞くと、
「クロサワの映画」とか、
「富士山のポスターを偶然見て」
という答えがかえってくることが多く、日本人の身としては「へえ・・・」という感じだったりするのですが、やはり若い時の出会いというのは、強烈な印象を持つものなんだろうなと思います。
私が初めて「ハンガリー」という国を意識したのは、中学校の地理の教科書に出てきた大平原と馬車。そして、高校生の時聞いた、コダーイの「天使と羊飼い」。
全く住めるとは思っていなかった国に、日本語教育という思ってもみなかった形で3年住めたこと。改めて改めて、それって本当に幸せなことなんですね。
2011-04-21 15:45
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コメント(6)
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マトラの風景!ヴィドロツキ!懐かしい響きです。と言っても歌でしか知らないけれど、こうして写真で見せていただいて、あの歌の世界が現実にあることに、改めて感動しています。
やはり勧誘の勢いで入部してしまい、度々後悔したりもしたのですが(実はいつ辞めようか、4年になって諦めるまでずっと考えてました・・・)、今となっては歌はすっかり生活の一部になっています。感謝、感謝。
by ぴょんきち (2011-04-21 17:52)
シブい!シブすぎる!(w
幼少の頃クラシックに慣れ親しんだワシでも
ここんところ全く人生に登場しなかった「コダーイ」(w
by あんちぽ (2011-04-21 17:56)
へ~、混声合唱団!ちょっと意外でした(^_^)v
でも、名前でだけ強く印象に残っていた場所に実際に行ける、ってのはいいですね~
それにしても最高峰が標高1015メートルとは!広島県にすら1300メートル級の山があるというのにねえ。いくら平原の国として有名とはいえ、オーストリアと国境を接しているくらいだから、高い山があるのかと思っていた。
by 炎の料理人 (2011-04-21 20:01)
>ぴょんきちさま、
ぴょんきちさまの入部時のこと、よく覚えてますよ~。
逆に私はすっかり歌からは遠ざかってしまいましたが、やはり自分の世界を広げてくれたなと思っています。
コダーイの歌の歌詞、ちょっとはわかるようになりました!
>あんちぽさま、
あ、そうなんだ。やはりクラシック親しんでたのですね。
コダーイはハンガリーにいるとやはり身近です。でも、今年は何と言っても生誕200年のリストかな。
>炎の料理人さま、
意外ですか? 実は自分自身がすごく意外だったりします。ちなみにどんなイメージでしょう?
オーストリアやスロヴァキアの山はいいですよ。マートラはスキー場にもなってましたが、本当にスキーがしたい人は近隣諸国に行くみたいです。でも、ブナの林は見事でした。
by juni (2011-04-22 07:44)
今度、生徒さんに“ハンガリー狂詩曲”を弾かせるのですが、なかなか感じが伝わりません。juneさんの雰囲気タップリのお写真見せても良いですか?
写真を見た時、『これだ!!』と思いました!(^^)
by さと (2011-05-09 15:35)
>さとさま、
えーっ、こんな写真でよいのでしょうか・・・どうぞいつでもご活用ください^^
その生徒さんが、大人になって“ハンガリー狂詩曲”の世界としてちょっとでも思い出してくれたら嬉しいです。
ハンガリーの大平原もいつも通り過ぎるばかりだったので、最後に行けたらいいなと思っています。
by juni (2011-05-10 06:24)