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勉強会(文字教育) [教師研修と、その周辺]

以前の日記にも書きましたが、CEFR準拠教材の試用とともに、評価や文字教材の開発を進めています。
今回は4月の「教材概要とポートフォリオ」に続き、独立させて「文字指導」の実践報告をさせていただきました。

ひらがな・カタカナ学習、漢字導入の段階と手順、漢字数の根拠と決定、定着の方法、読み書き教育との関連。
限られた時間をどう効率的に使っていくかということ、どう積み重ねていくかということ、そして、ポートフォリオの中にどう落としていったかということ。
それが、主な内容となりました。

ポートフォリオと同様にいつかきちんと取り組まなければ、と思っていたもののひとつが、文字教育でした。むしろこれはポートフォリオ以上に切実な課題だったと言えます。

「日本語が大好き」と言う学習者が、ひらがなの段階で挫折してしまうこと。
仕事が忙しい社会人が、漢字の時間についていけなくなること。
漢字を何とか楽しんでもらいたいと思ってゲームや活動を取り入れても、その場その場に記憶にしか役に立たないという経験。
初めて出た海外で、現地の先生に漢字教育について相談を受けて、きちんと応えられなかった時の悔しさ。
「日本人教師は漢字指導では頼れない」という評価を耳にしたときの、何とも言えない複雑な気持ち。
それから思い出すのは、何年も何十年も日本に住んでいるのに、流暢な日本語で交渉できるのに、時にはひらがなさえ覚束ない在住外国人の人たち。

「楽しみだからきちんと積み重ねなくてもいい」というコースも、もちろんあるでしょう。クラブ活動のような授業では、それも大切な視点です。
また、「ローマ字だけで十分、それよりは必要なものがある」というような、目的意識が最初からはっきりした学習者には、それに対応したコースを当然デザインしなければなりません。
でも、「総合的に日本語を勉強しよう」というクラスや、「目的といっても・・・とにかく日本語なら何でもやってみたい」といったタイプの学習者には、文字もきちんと提供していきたい。「できないのは努力不足」だけでは終わらせたくない(いや、もちろんそういうケースもあります)。何年も勉強して話すことは上手なのに、漢字が弱くて読み書きアレルギーが起こってしまうような状態に学習者を追い込みたくない。緻密に体系的に作成された漢字教材はいくつかあるが、それを<どう使うか>という部分を明確にしたい。そしてまた、「ネイティブの教師は漢字指導をする力がない」という、否定的な評価を生みだしたくない。

今回の試用で私が関わったのは1クラスだけだし、人にくっついて走っていた部分も多いのですが、それでも受講生の反応や自分自身の発見など、やはりやってよかったと感じることがたくさんあります。
もうすぐ任期終了。彼らの<これから>を見届けられないのが本当に残念です。でもそれは、次の代に私には気がつかない新しい視点で何かを発見してもらうためだと思っています。
さて、将来彼らは中上級にあがっていこうという時、抽象語彙や漢字をどう身につけていくのだろう。

先月、今月の勉強会、そして1月に三機関合同で行った研修会には、いろいろな機関の方に来ていただけました。
ハンガリーの方が中心になって作成された教科書。試用の報告や実践発表を通じて、本当に、いろいろな人に関心を持っていただけたらと思っています。
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